ジョサイア・コンドル6

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本日も前回に引き続き2台の暖炉を掲載します。
今までのものに比べるとやや地味な感じがします。
居間だったのでしょうか、かなり使い込まれ、いたみも激しいです。
2枚目の写真を見るとギリシャ建築風の柱があしらわれています。
やはり何々様式と呼ばれるものなのでしょうね。

所で本日も樟脳について私の感想を書いてみたいと思います。
樟脳は良くタンスの中などに入れて衣服の虫除けに使われますが、カメラや時計の様な精密な機械類と同じ場所にしまってはいけません。

樟脳はすぐに揮発して蒸気になりその気体がカメラや時計のような精密機械の中に奥深く浸透していき機械に使われている機械油に溶け込みます。
すると、機械油がべとべとになり潤滑油の用をなさなくなるからです。
油ばかりではありません。
多くのレンズはバルサ(樹脂だと思います)で何枚かが接着されていますから、このバルサがべとべとになってしまい曇ってしまい、レンズの用をなさなくなるのです。

当然のことながらやはり食べ物と一緒の所に置いてはいけません。
お茶と言いお菓子と言いすべてが樟脳くさくなってしまいます。

私は樟脳のこの性質がとても面白いと思います。どこまでも、どこまでも奥深く、音も無くもぐり込み、しかも、その物質の中に自分自体を溶かし込み、挙げ句の果てはそのものをべとべとにしてだめにしてしまう性質が何か悪魔の様に思えます。

タンスのなかの虫もこの悪魔の侵入を受けて、どこか体の調子を悪くし、生きていけなくなってしまうわけですね。

樟脳のように「固体から直接気体になる」事を「昇華」と言い、勿論他の物質でも昇華するものはたくさんありますが、樟脳は相手の物質を溶かし込みべとべとにしてしまう性質が抜きんでているのです。
このことを「融点降下」と言います。
樟脳はすべての物質中この「融点降下」がダントツに一番なのです。
実は、この樟脳のダントツの「融点降下」を利用して有機物質の「分子量測定」をします。
その意味において、樟脳は特別の物質なのです。

私は樟脳の匂いがとても好きですが、それにもまして樟脳の「融点降下」の特異性や極めて強烈な「強心作用」がとても面白く、且つ尊敬の念さえ持っています。







この記事へのコメント

ぶん
2010年11月18日 15:29
こんにちは(*^_^*)
やはり素敵な暖炉ですね…。確かに使い込まれていますね。経年にもよるのでしょうか。この暖炉の前で、どのような会話がなされたのかと考えると、趣が深いですね…。

樟脳とカメラなどはだめなのですね!うっかりとつい、一緒にしてしまいそうですが、壊れてしまうなんて!
「融点降下」のお話大変興味深く拝見しました。そういえば樟脳は、箪笥の引き出しの衣類の一番上に置くだけで良いと使用法に書いてありますが、この性質のおかげで繊維の奥深くまで届いてくれるのですね…。勉強になりました。

お父様のお話には本当に驚きましたが!ご無事で何よりでした(*^。^*)゚。゚。。
カンフルがお手元にあって、本当に良かったですね…。
emic
2010年11月18日 20:38
樟脳をその性質から悪魔とのお見立て、化学のお話なのに文学的で面白いです。
望遠鏡も樟脳と一緒にしないよう、気をつけます。

前回のカンフル注射のお話には驚きとともに中学生にして瞬時に適切に行動されたことに感服いたしました(たしかに現在は法に抵触しそうですが)。

2010年11月19日 19:16
コメント有難うございます。私の文章が舌足らずで皆様に誤解を与えてしまいましたこと深くお詫び申し上げます。あの文章では私は一見父親をすんでの所で助けたように見えますが、病魔は少年よりも一枚上手だったのです。名薬といえども限界があると言うことを教わりました。

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